人間が行動するための大もととなっているのは ”頭からの指令” です。ふだん気にせずにいるので私たちはあまり深くそのことを考えません。けれど最近は、「脳力をきたえる」といった言葉を耳にすることが増えてきました。脳の大切さに社会全体が気づき始めた表れかもしれません。
脳の中で特に重要視されるのが、人間のおでこの辺り”前頭葉”と呼ばれている部分です。社会性や協調性、意欲や思いやり、いわゆる ”人間が人間らしくあるため” の重要な役割を果たすところです。前頭葉をいかに豊かに発達させるか、それこそが幼児教育の本質であり使命であります。
この前頭葉を豊かに発達させるには、「自然の中で友だちとたくさん遊ぶ」「時にはけんか、がまん、いろいろな困難を経験し、一方では満足感、達成感、充実感、喜びを味わう」こうした経験こそが前頭葉を豊かに発達させるといわれます。そして更に重要なのは、「この前頭葉が大きく発達するのは幼少期(8歳位)までで、幼少期に経験させてもらえなかったら、もうほとんど手遅れ」だということなのです。
便利で快適で欲しい物は何でも手に入る、けれど不安やあせり、将来を考えると心配なことだらけの世の中です。昔、子どもたちは野山や小川、原っぱや空き地で遊び、育ってきました。今、子どもたちはそれとは程遠い環境の中で生活していかなければなりません。
テレビやパソコンゲーム、安易で魅力的な遊びは、果たして本当に子どものためになっているのか、それよりも友だち同士で体をたくさん動かし、自然の中、泥や水、草木や虫たちと触れ合い遊ぶことの方が大切ではないでしょうか。
にっさい幼稚園は、今の子どもたちの置かれている状況を真剣に憂い、子どもたちにとって本当に必要な環境とは何か、を深く考えます。私たちの思いに共感してくださる一人でも多くの方々の入園をお待ち申し上げます。
前園長 末崎文朗